
今年も3月末から4月上旬にかけて、上記のようにアユの放流を行いました。今年は、下流部も遡上数が少なく、後述するように型も小さめだったため、2年ぶりに下流部にも500kg、上流も含めて計2,170kg(約22万尾)の自県海産の人工アユを放流しました。
4月11日には、専門家に依頼して、下流部の遡上調査を行ってもらい、その結果放流したアユも含めて、約47万尾の生息が確認されました。この数字は、近年の平均生息数約60万尾の8割程度に相当し、昨年とほぼ同等の生息数でした。

この生息数を区間ごとに示したのが上の図ですが、この3年間の傾向と同じように、床止め工(U区とV区の間)から下流に多く分布しています。

今年はこの生息調査と合わせて、初めての試みとして同日に高知県の内水面漁業センターにも協力いただいて、区間ごとに稚アユの特別採捕を行っていただき、そのデータと生息数のデータを併せて、上の図のように生息しているアユ全体の体調組成を出してみました。
それによると体長6cm(全長約7cm、体重約3g)以下のアユが7割近く占め、今年の天然アユの主体は後期に遡上した小型魚であることが推察されます。2018年のように大量のアユが遡上すると、3月中に上流へ相当量のアユが遡上し、その多くは早期に誕生し、生育の進んだ個体と推察されます。つまり、遡上量の多寡は、このような早期群の資源量に大きく依存していると考えられます。

このような”当たり年”はオリンピック並みの4〜5年に一度あればいい方で、近年は残念ながら仔魚の降下期の海水温が高いせいか早期遡上群の生残率が悪く、遡上が遅い、サイズが小さい、数が少ないという典型的な不漁パターンが多くなったことが気がかりです。これらの小型個体は、長期の濁水等にも耐性が低く、解禁まで優しい雨が適度に降ってくれて、放流アユも含めて、健やかに育ってくれることを祈るばかりです。